*Thu*

アサはシュウの後について車を出した。シュウは広い道路に出る手前で
一時停止しハザードを2回点滅させる。
なんかの歌にあったような・・・数が少ないけど。
アサはお返しにライトを2回上向きにして答える。

シュウの車が見えなくなって行く。
シュウが帰って行く・・・・

アサはどうしようかと考えた。塾のお迎えの時間までまだもう少し
あるのだが、家に戻って何かをするとかゆっくりする程の
時間はない。どうしようかな・・・

コンビニで時間つぶそう。
そう決めてアサは走り出した。
シュウがアイスを買いに行くコンビ二ではなく、もう少し塾に近いところ
に行くことにした。

ここはいつも車がたくさん停まっていて流行っている。
夜10時近いと言うのに、学生や作業着の人などがいる。
“コンビニは場所次第だな” アサはそう思いながら
雑誌のコーナーに行き、表紙に「大人の女性」と言う文字がある
ファッション雑誌を立ち読みをした。


壁の時計を見ると10時を過ぎていた。
“そろそろ行かなくちゃ。今日は入れるかな。”
お迎えの時間、駐車場はいっぱいになる。校舎の前に停められるか
道路の反対側に回されるかはタイミング次第だ。
少し早く行けばいいかと思い、10分程早く行ってみた事があるが、
他の学年の迎えの車でいっぱいだった。
学年によって終わる時間をずらしてあるらしい。
30分も早く行けば、間違いなく止められるのだろうが
迎えにそこまでは時間をかけられない。

アサはガムとチョコレートを選んでレジに行った。
レジでは若い男の人が女の人に何か仕事を教えているようだった。
2人とも笑っていた。親しそうに・・・見えた。

アサに気がつくと若い男がいらっしゃいませと言い会計をした。
おつりを差し出した手がきれいだったので、思わず胸元を見た。
「にしむら」 とひらがなで書いてある名札を付けていた。


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