まみの母親は自宅の一部を美容室にして仕事をしている。
  お客さんは、遠くに行けない年寄りとお付き合いで
  行く数人の知り合いくらいだ。

  美容師の資格を持っているとは言え、結婚して職場を
  離れ、子供を育てている間、新しい技術を勉強した
  訳でもなく、今時の流行の知識を持っているわけでも
  ない。
  お客はちょっと足を伸ばせば、都会的でお洒落な美容室に
  行けるのだ。

  まみ親子を見送り、部屋に戻り、絵本や遊具を片し
  始めた。
  「もうすぐ雅也からキャンセルの連絡があるかな」
  れいこはため息をついた。

  れいこは6時過ぎに仕事を終えて、待ち合わせの公園に
  むかった。
  雅也からキャンセルの連絡があると覚悟していたが
  なかった。
  「来れないと言う連絡すらできないのかな。」
  れいこは悲しい気分になった。

  30分待って来なかったら帰ろう。と思った。
  約束の時間を10分過ぎて雅也の車が見えた。
  れいこは乗っていいものか迷ったが、雅也が運転席から
  助手席のドアを開けてくれた。

  「ごめん遅刻だ」
  うん。大丈夫。まみちゃんはどう?
  「そうなんだ。奥さんから連絡があって、少し熱が出てきた
  みたいだ。
  熱冷まシートを買ってきてって頼まれた。」
  雅也は続けて言った。
  「だから・・・ゆっくりできないんだ、ごめん。
  ほんとにごめん」

  「いいよ。来てくれないかもと思ってたのに来てくれたから
  うれしぃ。ありがとぅ。私もまみちゃん、心配だし。」

  「れいこ、すぐに、会える日決めて連絡するから。美味しい
  もの食べに行こう」
  「うん。楽しみにしてる。」

  大事な話があるの。とは言わなかった。
  まだ、後でいい。

  雅也は身体を伸ばしてキスをした。
  ついでに胸を触る。
  うぅっ、気持ちいい〜〜〜


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