雅也とれいこ、両方が思った。
キスは段々と深くなり、雅也の手にも力が入る。
駄目だ駄目だ! 子供が熱を出して待ってるんだから。
また、ふたりとも思った。
雅也の手が胸から離れ、太ももに移った。
「このまま、家に帰るより自分との時間を選んでくれれば
いいのに。まみちゃんにはかわいそうだけど。」
れいこは願った。
が、その時に雅也の口も手もれいこから離れた。
「ごめん、帰らなくちゃ。」
「うん、そうだね。帰った方がいいよ。
じゃね、お大事にね。」
れいこが車を降りるときに雅也はもう一度謝った。
「ごめんね、気を付けて帰るんだよ。メール、するから」
れいこは雅也を見送りながら思った。最初から今日は無理
って言ってくれればいいのに。こんな中途半端な気分に
させて。
でも、わずかな時間でも会えるのはうれしい。
でも、早く帰らなくちゃと言う空気を感じるのは嫌だ。
複雑!
今夜はまみの事を夫婦二人で同じ気持ちで心配し、それに
ついて会話をし、自分達が親であること、夫婦であることを
自覚するのだろう。
こどもが熱があるのに、まさかエッチはしないだろうけど。
まさか?
雅也はハンドルを握りながら思った。
残念だったなぁ。
元気になってしまった自分の股間に手を置き、今日は駄目
なんだとなだめる。
食事をしてからホテルに行くつもりだった。
が、子供が病気では仕方ない。股間の熱よりまみの熱だ。
熱冷まシート・・・
雅也はドラッグストアーに向かった。
どうしようかな。歩きながられいこは空いてしまった時間を
どうしようか考えた。家に帰ってもひとりだし。
本屋の看板があった。
本屋と言っても店内の半分以上はCDやDVD・ゲームソフト
などである。化粧品や文房具も売っている。
れいこは看板に向かって歩きだした。
「本屋さんに行こう」
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